日本企業が競争力を維持し、成長を続けるために、デジタルトランスフォーメーション(DX)の必要性はますます高まっています。
企業の業務効率化や柔軟な働き方を実現するためには、ITインフラの整備は欠かせません。
中でも、AIとの連携が容易なクラウドPBXの導入は、リモートワークやテレワークの高度化を支援する強力なツールとして注目されています。
従来のPBX環境ではリモートワークへの適応が限定的な場合がありますが、クラウドPBXなら従業員はどこにいてもスムーズなコミュニケーションが可能となり、地理的な制約を超えた業務の連携が実現します。
しかも、コスト削減や管理の簡素化にも大きく貢献し、物理的な設備を必要としないため、初期投資を抑えつつ、システムのメンテナンスも容易に行えます。
社内外のデバイスから簡単にアクセスできるため、顧客対応の迅速化や社内コミュニケーションの円滑化が期待されます。
クラウドPBXとAI技術を組み合わせたサービスを活用したDX推進をすることで、単なるITインフラの改善にとどまらず、ビジネスプロセス全体の最適化が可能になります。
本記事では、クラウドPBXがDXとリモートワーク推進にどのように貢献するのか、詳しく解説していきます。
DX推進を担うクラウドPBX

クラウドPBXがDX推進に欠かせない理由
クラウドPBXは、電話システムをクラウド化することで、固定オフィスに縛られない柔軟な働き方を実現します。これにより、従業員はどこにいても同じ電話環境を利用でき、業務の効率化や従業員エンゲージメントの向上につながります。
また、オフィス移転や従業員の増減にも柔軟に対応でき、社内外のさまざまなデバイスからも接続が可能な点も大きなメリットの一つであり、企業はスピーディに仕事環境を最適化できます。
さらに、クラウドPBXを導入し、AIとの連携ができるようなDX推進を進めると、「インテリジェントPBX」としてさらなる業務効率化を実現できます。
クラウドPBXはリモートワーク環境との相性が良く、地理的な制約を超えたコミュニケーションを支援するため、企業のDXを加速させるとともに、働き方改革にも貢献します。
リモートワークを支えるクラウドPBXサービスの主な機能
スマートフォンの通話アプリを使った通信機能
クラウドPBXの通話アプリをスマートフォンにインストールすることで、オフィスと同じ環境で通話が可能になります。個人の携帯番号ではなく、企業の代表番号や内線番号を使用して通話ができるため、どこにいても社内の一員として顧客や取引先と連絡が取れます。
また、クラウドPBXの通話アプリと通話録音サービスを組み合わせることで、発信・着信履歴の管理や通話記録の確認が可能です。これにより、重要な通話内容を記録し、顧客対応の向上やトラブル防止に役立てることができます。
さらに、スケジュール転送機能やホワイトリスト等の機能を活用することで、営業時間外は自動的に通話をボイスメールに転送するなどの設定が可能となり、業務とプライベートのバランスを保ちやすくなります。
加えて、個人の携帯電話の通話料を削減できるため、通信費の最適化にもつながります。
企業は従業員にスマートフォン端末を支給する必要がなく、従業員が自身のスマートフォンにアプリをインストールするだけで利用可能なため、初期投資や運用コストの削減が可能です。
このように、通話アプリの活用により、クラウドPBXはリモートワークやフレックスタイムなど、従業員の働き方の多様化にも柔軟に対応できます。特に災害時や緊急時にも業務を継続しやすいため、BCP(事業継続計画)の観点からも優れたソリューションといえます。
通話録音とアーカイブ管理
クラウドPBXの通話録音機能は、顧客対応の品質向上や従業員の教育にも大きく貢献します。
録音データを活用することで、トラブル時の証拠としての利用や、サービス品質の向上を目的としたモニタリングが可能になります。
また、不正防止や訴訟リスク軽減の観点から、顧客や取引先との通話内容を録音するニーズが高まっています。特に金融業界は国内外の法規制強化により、監督当局の指示のもと、全てのコミュニケーション、取引履歴を必要に応じて提出する必要に迫られているため、現在では、多くの金融機関で通話録音システムが導入されています。 リモートワーク環境下でも一貫した通話管理を行えるため、規制対応を求められる企業にとっても有益な機能です。
通話録音と音声認識AI機能
クラウドPBXの通話録音機能と音声認識AI機能を連携させることで、AIが自動で文字を起こし、メールやスマートフォンアプリにテキストとして送信できるサービスが注目されています。
これにより、通話内容を後から確認する際に、音声を再生せずともテキストで先に検索・確認が可能になります。
また、従来のようにボイスメールを確認するために電話をかける手間が不要となり、通話操作ができない状況でも内容を把握できるため、利用者の利便性が大幅に向上します。
さらに、音声認識AIと連携することで、会話の要点を自動抽出したり、キーワード検索機能を活用して特定の会話を捉えることが可能です。これにより、カスタマーサポートや営業チームは、過去の会話内容を簡単に分析し、顧客対応の品質向上やトラブル防止に活用できます。
特に金融や法務関連業界の企業では、通話記録を正確に管理し、必要に応じて提出することが求められるため、音声認識AIを活用したクラウドPBXはコンプライアンス対応の面でも重要な役割を担っています。リモートワーク環境下でも、通話内容を一元管理し、チーム全体で共有・活用できるポイントから、クラウドPBXの通話録音&音声認識AI機能は、業務効率化と企業の競争力向上を同時に実現するツールとして、企業での導入が進んでいます。
自動応答機能(IVR:Interactive Voice Response)
IVR(自動応答機能)は、顧客からの電話を適切な部署や担当者へ自動振り分けをする機能です。
対応に時間がかかる場合や、業務時間外の問い合わせにもスムーズに対応できるため、顧客満足度の向上が期待できます。
また、状況に応じた自動応答メッセージを設定できるため、一次対応の効率化が可能です。例えば、「営業時間外のお問い合わせは翌営業日に折り返し対応します」といったメッセージを流すことで、顧客の不満を軽減しつつ、適切なサポートが提供可能になります。
リモートワークが普及する中で、オフィスに常駐する従業員が減少しているため、クラウドPBXのIVR機能は不可欠な存在となっています。業務の効率化とカスタマーサポートの品質向上を同時に実現できるツールとして、企業にとって重要な役割を果たします。
クラウドPBXのリモートワークにおける有効性

クラウドPBXは、テレワークやリモートワークの生産性と利便性を大幅に向上させます。これにより、企業は場所にとらわれない柔軟な働き方を実現し、DX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させることが可能です。
生産性の向上
クラウドPBXを導入することで、オフィス外で働く従業員も、企業の代表番号や内線番号を使用して電話を受発信できるため、顧客や同僚との円滑なコミュニケーションが可能となります。従来のPBXでは、リモートワーク時にオフィスの電話環境を再現するのが困難でしたが、クラウドPBXならスマートフォンやPCを活用し、場所を問わずに業務を遂行できます。
さらに、通話録音機能やIVR機能を活用することで、リモート環境においても業務品質を維持することができます。これにより、カスタマーサポートや営業部門においても、リモートワーク中の対応クオリティを確保でき、企業全体の生産性向上につながります。
コスト削減
クラウドPBXは、従来のPBXと比較して初期導入コストを最小限に抑えつつ、運用コストも最適化できるため、コスト削減に寄与します。
レガシーPBXは、設置やメンテナンスに多額のコストがかかるだけでなく、拠点ごとにPBX機器を導入する必要がありました。しかし、クラウドPBXは物理的な設備を必要とせず、サブスクリプション型の料金体系が主流のため、ランニングコストを可視化しやすいのが特徴です。
さらに、リモートワーク環境が整うことで、通勤時間の削減やオフィススペースの縮小が可能となり、賃貸料や光熱費の削減にもつながります。このように、クラウドPBXの導入は、通信コストの最適化だけでなく、企業全体の経費削減にも大きな効果をもたらします。
クラウドPBXの導入における注意点とベストプラクティス

クラウドPBXの導入を成功させるためには、以下のポイントを押さえることが重要です。
高速かつ安定したインターネット環境の確保
クラウドPBXはインターネット接続を前提としたシステムのため、通信環境の品質がそのまま通話品質に影響を与えます。特に、リモートワーク中の従業員は自宅や外出先のネットワークを利用するため、通信の安定性が課題となる場合があります。
企業は、従業員が契約する自宅のインターネット回線やモバイル回線の費用を一部補助するなどして、安定したネットワーク環境を確保する施策を講じることが重要です。
また、スマートフォンの通話アプリを利用する際、インターネットの混雑により通話品質が低下する可能性があるため、携帯電話会社のスマートフォン内線化サービスと連携できるクラウドPBXを選択するのも有効な対策です。この方法なら、携帯電話網を利用するため、高品質な通話環境を確保できます。
適切なセキュリティ設定
リモートワークの普及に伴い、企業の情報セキュリティリスクも高まっています。クラウドPBXを安全に運用するためには、アクセス制御や通信の暗号化、認証プロセスの強化など、適切なセキュリティ対策を実施することが不可欠です。
また、クラウドPBXの管理画面にはWeb経由でアクセスすることが多いため、ID・パスワード管理の徹底も重要なポイントです。不正アクセスを防ぐために、多要素認証(MFA)の導入や、従業員のログイン情報を定期的に見直すことも必要です。
さらに、クラウドPBXを提供するサービスプロバイダのセキュリティポリシーを確認し、データセンターの安全性や暗号化の有無をチェックすることも、リスクを軽減するために欠かせません。
操作教育とサポート体制の整備
クラウドPBXは、従来のPBXとは異なる運用方法を採用しているため、導入後にスムーズに活用できるよう、従業員への適切な操作教育が必要です。特に、クラウドPBXの管理画面の設定方法や通話アプリの使用方法、IVR機能のカスタマイズ手順など、基本的な操作を理解できるようにすることが重要です。
また、従業員が不明点をすぐに解決できるよう、FAQの作成やオンラインマニュアルの整備、サポート窓口の設置といった体制を整えておくことで、導入後の運用負担を軽減できます。
まとめ
クラウドPBXは、DXの推進、リモートワークの支援、コスト削減、業務の効率化において、企業にとって非常に有益なツールです。特に、スマートフォンを活用した柔軟な通話環境、IVR機能によるカスタマーサポートの向上、データの一元管理による情報セキュリティ強化など、多くのメリットを提供します。
一方で、導入に際しては、インターネット環境の整備、セキュリティ対策の強化、従業員への適切な教育といったポイントを押さえることが、成功のカギとなります。クラウドPBXを活用することで、企業は単なるITインフラの改善にとどまらず、ビジネスの効率化と働き方の最適化を実現できます。DXを推進し、競争力のある企業運営を目指すために、クラウドPBXの導入を積極的に検討してみてはいかがでしょうか。
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