オンプレミスPBX vs クラウドPBX徹底解説!

本記事では、企業の電話システムであるPBXの基本的な役割と種類について解説し、業務効率化やコスト削減を実現するクラウドPBXの特徴についてもご紹介します。

PBX(Private Branch Exchange)は、企業や団体内の電話通信を効率化するためのシステムです。
公衆回線と内線電話を接続し、内線・外線通話を可能にします。PBXがない場合、各電話機が外線に直接接続される必要があり、内線通話でも回線契約が必要となりコストが増大します。また、他の電話が着信しても空いている回線が使用されず「話し中」になるなど、通信効率も悪化します。こうした課題を解消するため、PBXは企業にとって重要な設備といえます。

PBXを自社に設置して運用するオンプレミスPBXとの違いを理解することで、クラウドPBXの必要性がより明確に見えてきます。

オンプレミスPBXとは?

ヘッドセットで電話をする女性

オンプレミスPBXには、従来の電話線を利用する「レガシーPBX」と、インターネット技術を活用した「IP-PBX」の2種類があります。
また、小規模事業所では、PBXの代わりに「ビジネスフォン」を導入することが一般的です。

レガシーPBXの特徴

レガシーPBXを導入・運用する際は、将来の事業計画を見据えたうえで計画的なサポート体制や保守対応を確立することが、安定した運用を維持するために重要です。

  • 特徴
    レガシーPBXは、固定電話回線を使用して構内交換を行うシステムです。各部署に物理的な配線が必要ですが、外部と接続するのは回線と電源のみで、停電時もバックアップバッテリーで運用可能です。社内で管理されるため、外部からの不正アクセスや故障リスクが低く、信頼性の高いシステムといえます。
  • メリット
    • 高い安定性と信頼性:外的要因に左右されにくく、安定した運用が可能です。
    • セキュリティの高さ:システムが自社内にあるため、外部からの不正アクセスや無断操作のリスクが低いです。
  • デメリット
    • 高い初期投資や保守コスト:一方で、設置や運用には高い初期投資や保守コストが発生します。また、拠点ごとに設置が必要であるため、管理や運用の効率性に限界があり、故障や移設のたびに業者との緻密な調整が必要です。
    • 設置スペースの確保が必要:レガシーPBXは物理的な装置であるため、設置スペースの確保が必要です。
    • 定期または突発的な交換対応:経年劣化や機能の陳腐化により、一定期間ごとに新しい機種へのリプレイスが避けられない場合もあります。突発的な故障が業務に重大な影響を及ぼすリスクについても留意が必要です。

IP-PBXの特徴

  • 特徴
    IP-PBXは、インターネット技術を活用したPBXシステムです。LAN環境を活用することで、電話線の物理的な配線が不要になり、導入や移設が容易です。さらに、スマートフォンやPCを内線端末として利用でき、複数拠点間の通話をスムーズに行えます。
  • メリット
    • 設置コストの削減:LAN環境を活用するため、電話線の配線が不要です。
    • 柔軟な運用:スマートフォンやPCを利用して、どこでも通話が可能です。
    • 拠点間無料通話:IPネットワークを活用して通信費を削減できます。
  • デメリット
    • 運用・保守コストの増加:運用・保守のためにリソースやコストが必要である点はレガシーPBXと共通しています。
    • 故障リスクの増加:インターネット接続の不具合により、通信が影響を受けるリスクも考慮する必要があります。

ビジネスフォンの特徴

  • 特徴
    数台から百台程度の電話機を内線・外線として利用する中小規模の事業所では、PBXに代わりビジネスフォンが活用されます。ビジネスフォンは、PBX機能を備えたオフィス向けの電話システムで、ドアフォンやセキュリティ機能等が付加されておりPBXに比べてオプション機能が豊富なのも特徴です。
  • メリット
    豊富なオプション機能:中小規模の事業所において簡易的かつ効率的な内線・外線運用が可能です。PBXに比べてオプション機能が充実しており、特定の業務ニーズに応えます。
  • デメリット
    • 故障リスクの増加:ビジネスフォンには冗長化機能がない機種もあり、故障時に利用が停止するリスクがあります。そのため、導入前に機能要件を十分に確認する必要があります。
    • 拡張性の制限:拡張性に制限があるため、事業の急成長が見込まれる企業においてはキャパシティ不足に陥る可能性があります。

クラウドPBXの基本的な仕組み

テレワークで活用できるツールを使う人たち

PBXを設置せずに運営会社のサービスを利用する

クラウドPBXは、企業が自社内に物理的なPBX装置を設置する必要がなく、運営会社が提供するサービスをインターネット経由で利用する仕組みです。月額料金制が一般的で、初期投資を抑えつつ必要な機能を柔軟に導入できます。

クラウドPBXの特徴として、利用規模に応じたコスト管理のしやすさや、急な業務拡大にも迅速に対応可能な拡張性があります。また運営会社によっては、既存の電話番号を継続利用できるのか、専用のゲートウェイを設置する必要があるのか、など提供されるサービス内容や対応端末に違いがあるため、選定時には自社の用途や規模に合ったサービスを検討することが重要です。

インターネット回線で内線電話網を構築する

クラウドPBXは、インターネット回線を使用して内線電話網を構築します。そのため、契約手続きと電話の設置後に、内線番号やグルーピングなどの設定を行えば、すぐに利用を開始することができます。
クラウドPBXと、これまで利用してきたレガシーPBXを残す他の拠点をVoIPゲートウェイを介して内線化を図ることができるサービスを利用すれば、段階的な導入も可能であり、業務への影響を最小限に抑えながら移行が進められる点も魅力です。

多様な端末設定でコミュニケーションを円滑にする

従来の電話機だけでなく、スマートフォンやパソコンも内線機器として活用できるため、リモートワークや出張時のコミュニケーションが円滑になります。場所を選ばずに業務ができる柔軟性は、外出先ではもちろんのこと、テレワークの普及に対応した企業にとって大きな利点です。

高い拡張性で業務効率の向上やコスト削減を実現する

クラウドPBXは、インターネット経由で接続されるためさまざまなサービスやデバイスと連携可能です。たとえば、CRM(顧客管理システム)やAI技術を活用した音声のテキスト化サービスなどとの連携が可能であり、顧客満足度向上や業務効率化に寄与します。企業の成長に合わせてシステムを拡張できるため、長期的なコスト削減も実現できます。

クラウドPBXの必要性

クラウドPBXの進化とビジネスへの影響

レガシーPBXは、企業の電話システムとして長年にわたり重要な役割を果たしてきましたが、専用の物理機器を必要とするため、導入や増設には多大なコストと労力がかかるという課題がありました。

また、定期的なメンテナンスが求められ、自社で対応が難しい場合には外部ベンダーへの依頼が必要となり、時間的・金銭的な負担が企業の成長を妨げる要因となっていました。しかし、クラウドPBXの登場によって、これらの問題は大幅に改善されつつあります。

クラウドPBXでは物理的な装置が不要で、通信はすべてインターネットを介して行われるため、導入や運用の負担が軽減されます。さらに、初期投資を抑えながら、クラウドPBXに追加される最新の技術を用いたAIサービス等を活用することで、スムーズなアップデートや新機能の追加が可能です。

これにより、企業は自社の業務ニーズに合わせて柔軟にシステムを変更できるようになり、クラウドPBXの需要が急速に拡大しています。

テレワークの普及とクラウドPBXの相性

クラウドPBXのもう一つの大きなメリットは、場所や端末に依存せず利用できる点です。

近年、テレワークの普及により在宅勤務を行う従業員が増加していますが、クラウドPBXを活用することで、従業員は在宅勤務中でも会社の電話を受発信できるため、オフィスにいるかのように業務を行えます。これにより、自由な働き方を実現しながらも顧客対応がスムーズに行えるため、業務効率が向上します。

さらに、株式会社グローバルインフォメーションの市場調査によると、クラウドPBX市場は2030年までに年平均成長率(CAGR)12%で成長すると予測されています。この成長は、クラウドPBXがテレワーク時代において重要な通信インフラとしてますます注目されることを示しています。企業がクラウドPBXを導入することで、競争力を高め、業界での地位を強化することが期待されています。
出典:株式会社グローバルインフォメーション「クラウドPBXの世界市場 - 業界分析」
https://www.gii.co.jp/report/go1242204-cloud-pbx.html

クラウドPBXの利点

クラウドPBXが支持を集める理由は、コスト最適化だけではありません。その柔軟性と拡張性も大きな魅力です。たとえば、新しい機能やサービスを導入したい場合、物理的な設備の追加は不要で、システム設定を変更するだけで済みます。この手軽さは、企業がビジネスの変化に迅速に対応する上で大きなメリットとなります。

また、クラウドPBXでは複数拠点間の通話が容易になるほか、CRM(顧客管理システム)などの他システムと連携することで、さらなる業務効率化が期待できます。

クラウドPBXがもたらす企業の変革と未来

  • 統合コミュニケーション環境の構築
    一部のクラウドPBXサービスでは、音声通話だけでなく、ビデオ通話やチャットといった他のコミュニケーション手段を統合し、企業内外の連携をさらにスムーズにする機能が増えています。しかしこうしたサービスには課題も多く、多くの電話機能が利用できないといった声もあがっています。
    今後、顧客やチーム間のやり取りを一元化し、迅速な意思決定や情報共有が可能になる仕組みとして、複数のサービスを統合するなどで、より良いサービスを提供するプロバイダの登場が期待されます。
  • データ分析による業務改善
    クラウドPBXで蓄積された通話データを、AI分析により業務の最適化や顧客対応の改善が考えられます。将来的には、通話内容の分析から顧客の傾向をリアルタイムで予測し、次のアクションを提案する「スマートアシスタント機能」の実装が期待されています。
  • 新技術との連携で生産性向上
    クラウドPBXはAIやIoT技術と連携することで、業務効率をさらに向上させる可能性を秘めています。たとえば、AIを活用した自動応答やFAQサポート、自動スケジューリング機能の実装により、企業の生産性が大幅に向上すると予測されます。

まとめ

クラウドPBXはその利便性、柔軟性、拡張性から、これからの企業通信インフラを支える中心的な存在となるでしょう。これを取り入れることで、業務の効率化や新たなビジネスチャンスの創出が期待されます。

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