Solution Service
ソリューションサービス
SBC(Session Border Controller)とは
SBC( Session Border Controller - セッションボーダーコントローラー)は、IP ネットワーク上での音声通信において、セキュリティを確保しながら異なるネットワーク間の相互接続を行うゲートウェイ装置です。
IP ネットワーク上の音声通信では、音声データをパケット化して送受信する『 VoIP( Voice over Internet Protcol)』という技術が用いられています。 VoIP には、「通話をつなぐ(呼制御)」プロトコルと「音声データ伝送」のためのプロトコルがあり、リアルタイム性に特化した以下のプロトコルが活用されています。
役割 | プロトコル名 | 概要 |
---|---|---|
呼制御 | SIP(Session Initiation Protocol) | 通信経路(セッション)の確立、通話の接続・応答・切断を実行 |
音声データ伝送 | RTP(Real-time Transport Protocol) | 連続的なデータの送受信を実行 |
いずれもインターネット技術の標準化団体である「 IETF( Internet Engineering Task Force )」により標準化されていますが、SIP のプロトコルは拡張性が高いため、通信事業者やベンダーの捉え方により、SIP信号に差分が生じるという現象が起きています。
このような差分は「 SIP の方言」と呼ばれ、方言の異なるネットワークや製品間では、「ちょっと何言ってるかわからない。。。」となってしまい、相互接続は困難になります。
この差分を吸収し、IP ネットワーク上で異なるネットワークや多種多様な端末、サービスとの音声通信を中継するのが SBC で、方言を翻訳してお互いの通信を可能にする、必要不可欠な存在です。
ご存知の方も多いかと思いますが、2024年1月から2025年1月までに、NTT の固定電話網( PSTN )が廃止となり、IP 網へと移行することが予定されています。PSTN マイグレーションと言われるもので、ここでも、企業の IP-PBX と通信事業者の IP ネットワークとを相互接続するゲートウェイとして SBC が活用されます。
また、企業の PBX と、スマートフォン(スマートフォン内線化)、Web 会議システム、SNS、CPaaS(Communications Platform as a Service) などの外部のコミュニケーションサービスとの連携にも SBC が使われています。
- ネクストジェンの SBC
- ネクストジェンは、日本初の商用IP電話サービスのインフラを支えるソリューションとして、海外製の SBC を日本仕様にするところから事業をスタートしました。
その後、前述の PSTN マイグレーションを見据えて、自社で SBC『 NX-B5000 』を開発し、これまでに通信事業者間の回線接続を多数手掛けています。 昨今は、スマートフォンの内線化をはじめ、Web 会議サービスや SNS など新しいコミュニケーションサービスの登場により、VoIP を利用した音声通信の接続先は多岐にわたります。
『 NX-B5000 』は、主要な IP 電話サービスや PBX、FMC サービス、各種コミュニケーションサービスとの接続認定を取得、相互接続の実績をさらに積み重ねています。
ネクストジェンの SBC については以下をご参照ください。
- 通信事業者様向けSBCはこちらから
『NX-B5000』の詳細へ - 企業様向けSBCはこちらから
『NX-B5000 for Enterprise』の詳細へ
- 通信事業者様向けSBCはこちらから
サービス相互接続に伴う新たな課題への取り組み
インターネット技術を使う際に発生するNAT(Network Address Translation)を超えるための技術として、STUN(Session Traversal Utilities for NAT)やICE(Interactive Connectivity Establishment)などがあり、その一つとしてHNT(Hosted Nat Traversal)があります。
HNTでは「メディアラッチング」という仕組みを利用してNATを超える技術です。VoIPシステムではHNTが多く使われています。
しかし、このような既存の技術を使っても相互接続ができない非常に特殊な構成も発生しています。こうした課題に対しても、当社の開発力を活かして新たな技術を投入し対応しています。
ここでは、このネクストジェンの取り組んでいる技術をほんの少しご紹介します。
メディアラッチングとは
メディアラッチングという仕組みは、ゲートウェイ等から音声パケットを対向するサービス環境へと送信することで経路の途中に存在するNAT装置に割り当てたグローバルIPアドレスを、サービス環境へと伝える技術です。
この時、ゲートウェイ等が音声パケットを出すのは、通話に伴う音声パケットを下方から受け取ることが前提となっています。
従来技術ではこの通話に伴う音声パケットがネットワークの構成上、下方から送られてこないために、メディアラッチング技術が利用できず、結果として通話の接続失敗に陥ることが稀に存在します。そこで当社では、ダミーの音声パケットをサービス環境に向けて送る機能や、その送信する細かな条件設定が対向サービス環境毎にできる機能を開発し実装しています。
(2023年8月1日より)
【機能の一例】
機能 | 概要 |
---|---|
ダミーパケットの送信有無 | 送信する、または、しない |
どの契機に送信するか | 通話開始信号受信、または、アナウンス等通知のための呼出信号受信 |
ダミーパケットの形式 | 完全なパケット、または、データを付けない不完全なパケット |
- SIP
- ※「Session Initiation Protocol」の略称で、IPネットワークを利用した通話の相手と「呼制御」と呼ばれる機能で繋がるための通信プロトコル。
- SIP
- ※「Session Initiation Protocol」の略称で、IPネットワークを利用した通話の相手と「呼制御」と呼ばれる機能で繋がるための通信プロトコル。